学んだ知識・技術を活かし、ものづくりを通じて社会に貢献する。工科短期大学校の実用的な授業で習得した「現場に通用するスキル」

機械システム系

就職先/TOTOファインセラミックス(株)

2016年卒業生 後藤 貴裕さん

後藤 貴裕

宇佐市出身の後藤 貴裕さんは「手に職をつけて早く社会に出たい」という想いから大分県立工科短期大学校へ進学し、現在はTOTOファインセラミックス(株)の社員として、ものづくりの現場で活躍しています。そんな彼から、現在の仕事の内容や在学中の経験などをお聞きしたいと思い、職場を訪ねました。

点検中の後藤さん

4年制大学と同じカリキュラムを2年間で学べる

宇佐市の普通科高校を卒業した後藤さんは、できるだけ早く技術を習得して就職したいという自分の希望にマッチしていると考え、大分県立工科短期大学校へ進学を決めたそうです。

後藤さん : 機械の知識は全くありませんでしたが、ものづくりの基礎から最新機器を使用した実習を体験でき、即戦力となる人財を育成している教育方針に惹かれ進学を希望しました。工科短大のパンフレットに「4年制大学と同じカリキュラムで学べる」と記載されていて、2年間という短い期間で就職に役立つ実践的な技術を身につけることができるという点に強く惹かれましたし、実際に社会に出た際に役立つ様々な技術を習得することができました。

1年生では座学中心で朝から夕方6時ぐらいまでの間に数学・物理・英語などを学び、2年生では設備を操作する・ものを加工する・プログラミングを行うなどの実習や卒業研究のため、朝から夜22時まで勉学に励みました。また、並行して就職活動にも取り組むため、スーツを着て会社訪問を行った後に学校に戻って研究を続けるなど、忙しい日々を過ごしていました。平日は学業で、土日はアルバイトに勤しんでいたため、本当に濃密な2年間でした(笑)。

実際に後藤さんが工科短大の授業で良かったと感じる点をお聞きしました。

後藤さん : 基本的にマンツーマンの指導で、卒業研究の際は2〜3人の1グループにつき1人の先生が対応してくださるので、課題についての理解を深めることができますし、困ったことはすぐに相談に乗っていただけます。 また、授業を通じてワード・エクセル・パワーポイントに慣れ親しんだおかげで、仕事の効率向上に貢献しました。強いて言えば、エクセルの関数やマクロをもっと学んでおけばもっと良かったと思います。逆に、2年間を通して学んだ英語は今のところ使う機会がないです(笑)。

後藤さんの卒業研究

在校中の印象的な思い出

凝縮された2年という学びの期間の中で、特に印象に残った思い出をお聞きしました。

後藤さん : 卒業研究として半年間でベーンポンプの製作に取り組み、仕様策定・設計・加工・部品製造・加工・組み立てまで一連のモノづくりの流れを実際に体験することができました。夜遅くまで加工のプログラム作成し、部品の組み合わせを見ながら数ミクロン単位で加工したことを今でも覚えています。自分が設計したベーンポンプが完成した時の喜びは今でも鮮明に覚えていますし、既製品と同じような仕様で実際の工場でも使える能力を有する製品を作り出せたことは、大きな自信になりました。

元々趣味でプラモデルを組み立てるなどのものづくりが好きなのですが、ゼロからスタートして完成まで辿り着いた際の達成感は何物にも代え難いと思います。

後藤さんが働くTOTOファインセラミックス(株)

現在の仕事について

工科短大で学んだ知識や経験が今に繋がっていると話す後藤さんに、現在の仕事についてお聞きしました。

後藤さん : 卒業後は、半導体を製造する装置の重要な部材である静電チャック、カメラやスマートフォンの処理能力向上や小型化に貢献するセラミック膜、主に自動車に搭載される半導体デバイスの製造装置で活躍するボンディングキャピラリーといった半導体プロセス分野の製品や、液晶テレビやスマートフォンのディスプレイの大型化・高精細化に貢献する大型ガイド軸・エアスライドといった精密構造部材分野の製品を手掛け、ICTの発展と省エネルギー・持続可能な社会の実現に貢献するTOTOファインセラミックス(株)の社員として働いています。

入社当初はクリーンルームで部材の製造に従事していましたが、現在は製造現場の組長として部下10名の指導・育成をしながら現場管理を行っています。幅広い年齢層の方が働いているため、自分の想いが上手く伝わらないことがありますので、毎日試行錯誤しながら対応しています。

TOTOファインセラミックス(株)の新社屋の食堂。現在は800人ほどの従業員が利用しているそうです。

実際の業務の中でやりがいを感じた瞬間について伺いました。

後藤さん : 私の担当現場は危険物や大型設備を取り扱っているため、とても危険な環境の中で仕事をしていますが、現在まで無災害で業務を継続できていることは私の誇りです。日々仕事をする上で安全に働くことは最も重要な要素だと思います。

工科短大で学んだことの多くが今の設備保全や安全管理などの業務に活きていますが、その中でも特に問題解決手法のQCストーリーは学んで良かったと思います。トラブルは会社の生産性に大きく関わってくるため事前に予防することはとても重要ですので、現場に潜んでいる問題を顕在化し解決することにより、業務のステップアップに繋がるとともに会社に大きく貢献していると思います。実際に設備トラブルや品質トラブルを未然に防いで上司に感謝された際は、達成感を得られました。これからも無災害を継続できるように日々の安全管理を徹底していきたいです。

社会人経験の中で、特に印象に残っている事柄についてお聞きしました。

後藤さん : 技術課の方と新規設備を選定して稼働までの一連の設備導入を経験したことです。設備導入は今まで経験したことのないことでした自分が導入した設備が生産で活躍しているところを見るととても誇らしく感じます。

また、随時作業指示表の作成や改訂を行い、運用と齟齬がないように改訂し、運用面でトラブルが起きた際に解決に導くように対応できました。私が策定した内容が現場で役に立っていることが嬉しいです。

業務中の後藤さん

学生の頃と社会人の今とで仕事に関するイメージが変わったかお聞きしました。

後藤さん : 学生の頃は「社会人になったら一所懸命仕事を覚えることで手一杯になり、勉強する時間は確保できない」と考えていましたが、TOTOファインセラミックス(株)では自分が学習したいことを斡旋する自己啓発制度などがあり、社会人になってもしっかり学習時間が確保できますし、資格手当もあるので励みになります。

ライフスタイルについては、学生時代も社会人になってからも、朝早く起きて夜遅くまで活動しているので、あまり変化がありません(笑)。

休日はランニングや会社の同僚とバレーボールをしたり、奥さんと旅行やドライブ・キャンプに足を運んだりして過ごすというアクティブな後藤さんに、社会人としてこれからの展望をお聞きしました。

後藤さん : 現在は製造現場の組長として業務に従事し、決められた時間でより数多くの製品を作るため、手順を刷新する・工程を変えるなどの対応を行い、作業効率の向上に注力していますが、私自身は現場が好きで革新的なことをやりたいタイプなので、将来的には技術部門で会社に貢献できる技術者になりたいと考えています。そのためにも、入社して6年目でまだまだ知らないことが多いので、尊敬する上司や先輩の皆さんの指導の下で現場知識をしっかり身に着けて、スキルを高めていきたいと考えています。

後藤さんが携わる静電チャックという部材

これから大分県立工科短期大学校へ入学を志望する方へメッセージ

社会人としてものづくりの最前線で活躍する後藤さんから、入学を希望する皆さんへメッセージをいただきました。

後藤さん : 2年間という短い期間で4年制大学に匹敵する充実したカリキュラムを習得するため、覚えることが多く大変ですが充実しています。特に就職活動は2年生になってからの1年間は、実習や卒業研究の合間を縫って求人票を確認したり色々な工場を見学して回ったりと多忙ではありますが、せっかくの機会なので自分でしっかり情報を調べて色々な企業に接した方が良いと感じます。私の卒業時の就職率は100%で、1学年40名ほどの中で成績が上位であれば就職先は選び放題でしたので、安心して学習に注力できる恵まれた環境だと思います。

また、大分県北地域は大学や専門学校がほとんどなく、学費も4年制大学に比べて安いので、大分県立工科短期大学校は進学先としてそういった視点でも素晴らしい選択肢だと思います。

在学中に様々な知識・経験を得ることができるので、社会に出た後に「工科短期大学校に入学して良かった」と思える場面が必ず訪れます。沢山学んで社会に貢献できる人材を目指して頑張ってください!

2年間という短い期間で、座学や実習を通じて即戦力として社会に通用する人材を育成する大分県立工科短期大学校。ものづくりに取り組みたい・技術を身につけたいなどの想いを抱く皆さんにとって素晴らしい学びの場になると思います。

興味がある方はぜひお気軽にお問合せください。